煙か土か食い物 ★★★*☆

『煙か土か食い物』 舞城 王太郎著、講談社文庫、2004

冒頭からいきなり圧倒的なリズムで話が進んでいく。

最後までこのテンポを保つ疾走感はすごい。

自分は無意識のうちに主人公四郎にオダギリジョーを当てはめて読んでいた。

全員185cmを越す身長で腕っ節が強い4兄弟とその父。

設定からして面白い。

ミステリーではあるが、軽妙な文体とテンポで最後まで一気に読める。

第19回メフィスト賞受賞作。

『暗闇の中で子供』という三郎が主人公の続編があるとか。


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香水 - ある人殺しの物語 ★★★*☆

『香水 - ある人殺しの物語』 パトリック ジュースキント著、 池内 紀 訳 2003 文春文庫

今週末から映画「パフューム - ある人殺しの物語」が封切られる。
スピルバーグ、スコセッシが映画化権を争奪し合ったという原作である。

有名な映像作家が惚れ込んだとはいえ、テーマが「匂い」なだけに、この目に見えないものが映像化可能だろうかという疑問が頭をよぎった。

まして、ヨーロッパ各国でベストセラーとなった本作である。
下手に映画で見るよりも、先に原作を読もうと思い立ち、早速購入した。

翻訳でありながら、簡潔な文体でテンポよく読み進められる。翻訳作品にありがちな変な訳文もない。

作者の描く、超人的な嗅覚を持つ主人公グルヌイユの生きる世界に驚嘆する。

その描写は緻密で、彼の心理や行動の描写が筋が通っていて論理的に表現されている。
そのせいか、常人には到底捉えることの出来ないグルヌイユの世界に見事にはまり込んでいく。
久しぶりに小説を最初から最後までほとんど一気読みしてしまった。

それにしても、ラストは...うぐぐ...そんなことになってしまうのか...

ここは人によって賛否両論かもしれない。


で、映画なのだが、やはり、まともな映像化は無理な気がする。
忠実に映画化してもまともなモノにはまずならないだろうな。


あと、最近の作品かと思っていたが、ドイツ語の初版は1984年。ちなみに、ジュースキントはドイツ生まれで後にフランスに移り住み、この作品をスイスの出版社から出している。


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夜市 ★★★☆☆

『夜市』 恒川 光太郎 著 2005 角川書店

ホラーというよりは幻想的なファンタジーといえる作品。

最初から最後までその美しい世界にはまり込む。

ファンタジーの世界の記述はあくまでもさりげなく、現代の現実世界の感覚とのバランスが絶妙だ。

短編ではあるが、ストーリー構成もしっかりしていて次第に明らかになっていく事実に驚かされ引きずり込まれていく。

このあたりミステリー作品と同じ手法で面白い。


ただ、読後に思ったのだが、これって映画「ジュマンジ」のコンセプトと似ているような気がするな。。。

選考委員激賞の、第12回(2005)日本ホラー小説大賞受賞作。



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チューイングボーン ★★★☆☆

『チューイングボーン』 大山 尚利著 2005年、角川書店

大学時代の友人から突然高額バイトを押し付けられる登。
それは決められた列車の席から走る電車の風景を運転手目線でビデオ撮影するというものだった。
ところが、登が撮影する時には自殺者がその電車に必ず飛び込む。。。

第12回日本ホラー小説大賞 長編賞受賞作品


最後まで読むと、生と死に関する深い洞察に感心させられる。

単なる表層的なホラーではなく、文学的哲学的な趣向のある作品だ。

純文学のような叙情的な描写が全編にわたっており、あるときには緊張感を高め、あるときには残念ながらだるさを感じた。

このあたりを気に入るかどうかは読者の趣向次第ではないだろうか。

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天空の蜂 ★★*☆☆

『天空の蜂』 東野圭吾著 1998、講談社

最新鋭の大型ヘリコプターを盗み出した犯人は、それを原子力発電所、高速増殖炉の真上でホバリングさせ、国に要求を突きつける。。。

クライシス・サスペンスという謳い文句だが、緊迫感なく淡々とした調子であまり引き込まれなかった。

ミステリーとしては謎解きもあまり意外性を感じることなく拍子抜け。

原子力発電に昔、超間接的に関わっていた私としては、著者のその技術的な詳細の記述によく調べたなと感嘆した。

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