ジャンゴ 繋がれざる者 ★★★*☆

DJANGO今回のタランティーノは西部劇。

彼の好きそうな西部劇といえばやはりマカロニ・ウエスタンだろうか。

だったら「夕日のガンマン」あたりかななどと考えつつ見てきた。

映画は冒頭の奴隷商人の行軍からタランティーノ節全開。

ドイツ人の元歯科医シュルツと黒人奴隷ジャンゴがコンビを組むところまで有無を言わせず一気に進む。

クリストフ・ヴァルツ演じるシュルツはどちらかというと物事をスマートにこなす切れ者賞金稼ぎ。

そして、ジェイミー・フォックス演じるジャンゴは内に闘志を燃やし、教養こそないものの物覚えが早く、シュルツによって賞金稼ぎの才能を開花させる。

また、ジャンゴとシュルツのコンビの敵役としてサミュエル・ジャクソンとディカプリオのコンビは強烈だ。

いかにも曲者といったサミュエルは悪徳奴隷商人カルビン・キャンディを幼いころから知る執事で、ジャンゴたちの痛いところを見事に突いていく。

その憎らしい演技はサミュエルの真骨頂といったところ。

その時その時の感情の表現が際立っていたディカプリオも、すごくよかった。

妻を奪われ、奴隷として売買されたジャンゴが自由を得て、さらに自分の足で歩んでいく手段を獲得したジャンゴのブチ切れ具合がすさまじく、また、それが見ている方にも快感だ。

文字通り一度全てを失ったジャンゴにしてみれば、その自分の境遇に対する恨みはすさまじかっただろう。

馬に乗り、他の黒人奴隷をニガーと呼んで口汚く彼らを扱う自分を演技だと言うが、それまでに自分が味わった屈辱からすれば、それは演技でもなく、それまでのイライラに対する本心が表れていることは明らかだ。

おそらくジャンゴ自身はその時代の奴隷制度云々など理解していないのかもしれないが、そこが奴隷制度に立脚した南北戦争直前の時代のアメリカであることが、自由に制限をかけられたジャンゴのむしゃくしゃした感情をかえって際立たせており、ラストの大爆発は典型的なカタストロフィーになっている。

自由を奪われるということに対する拒絶感は、きっと現代の「自由」好きのアメリカ人も強烈に共感を感じることであって、多くの支持を集めたことは想像に難くない。

映画冒頭から最後までいかにもタランティーノらしい作品だった。


アカデミー賞脚本賞、助演男優賞受賞。



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