フライト ★★★*☆

パイロットのウィップは、機体の故障により急降下を始めたジェット旅客機を常人にはありえない技術で操縦し、最悪のケースを避けて不時着させる。

事故直後には事故を最悪のケースから救ったその神業から、マスコミから英雄的な扱いを受け称賛されるが、彼の素性は、家庭生活を
崩壊させ、アルコール中毒で薬物依存症にまで身を落とした人間だった。

さすがに、この事故をきっかけに家の全ての酒をシンクに流し込み、禁酒を試みるが、結局失敗して酒におぼれてしまう。

止めようとしても止められない必死の葛藤が嫌というほど見る者にも伝わってくる。

自分のことをアルコール中毒とは認めることができず、酒を飲むために嘘をつき続けてきた人生だったが、それまでの人生と正面から向き合う苦悩をデンゼル・ワシントンは見事に演じた。

映画では、事故は神の意志によるものだとも言っていたが、その時点では、事故に遭遇した人々のそれまでの人生の歩み方によるものだという意味で軽く考えていた。

飛行機が胴体着陸する寸前には、集会を行っていた教会の尖塔を破壊し、事故後の救出は教会の人たちによって行われる。

病院の階段でたばこを吸いながら会話するがん患者はこの世で起きる出来事の偶然性と必然性を説く。

同乗していた副操縦士は熱心なキリスト教徒であり、事故で大怪我をしたことも神の祝福であるという。

ドラマの根底には宗教的な、キリスト教的な価値観がちりばめられており、ラストのウィップの人生の決断に対して大きな伏線になっていたように思う。

彼の決断は、かつて親密な関係にあった同僚に罪をなすりつけることに対して良心の呵責があったためであろうが、何よりも神の御前で懺悔するものこそ救われるといった宗教的な意味合いを強く感じた。




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