
ここまで見たところで、アン・リー監督の旧作「グリーン・デスティニー」が頭をよぎった。
主人公のムーバイは求道者としても描かれており、この監督はこの世の仕組み問いかけるような人物に魅力を感じるだろうなと思った。
というより、主人公が監督自身の投影なのだろう。
物語はパイが後日自分の体験を語って伝えるという形をとるが、序盤は写実的だった体験談も徐々に進むに連れ、神話のような形をとってくる。
海底と宇宙の映像がつながり、切り替わっていくシーンやヒンドゥーの神話の口と宇宙のつながりなどその描写は本作では直接的だが、この世のものは全て宇宙の根源とつながっていることを暗示している。
上手く言葉では書けないが、監督はそのような言葉で言い表せない神と人間と宇宙のつながりを、多くのプロットを使って啓示的に表現しようとこの映画で試みているのではないだろうかと思える。
パイが最後に語った二つの物語も、どちらが真実というものではなく、両方が真実であり、自分が見たこと経験したことすべては神の御業によるのであるとも言っているのではないだろうか。
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