海よりもまだ深く ★★★*☆

海よりもまだ深く「海よりも深い母の愛」という言葉があるが、おそらく監督は母の愛と同じくらいもしくはそれ以上に父の愛も深いのだと言いたかったのだろう。

阿部寛演じる良多を軸に父性が大きなテーマとなって、物語は進んでいく。

亡き父が良多と良多の母の淑子(樹木希林)に与えた影響と、良多が息子の真悟(吉澤太陽)に与える影響が同じなところが面白い。

競輪で「勝負しろよ」と叫ぶ良多のようになりたくないという真悟は少年野球で勝負せずにひたすら四球狙い。

だが、亡き父のようになりたくなかった良多が昔なりたかった職業は公務員で、真悟の今の夢も公務員になることだ。

意思がなくても親子であるというだけで似ていると言われるが、似るまいと思っても似てしまうのが親子。

夢見た未来とちがう今を生きる大人たちも、知らず知らず親のように生きている。

淑子は良多の亡父のことを毛嫌いし、人生の中で人を深く愛しことはないと言うが、良多が離婚した元妻の響子(真木よう子)を海よりも深く愛していると言うことからも、淑子は亡父を深く愛し、亡父からも深く愛された人だったに違いない。

映画を通じて物語のわき役的な存在の淑子だが、その母としての愛の深さにもドキリとさせられる。

現代の日本の家族ドラマを描く旗手である是枝裕和の、この監督らしいよさの出た作品だった。



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