
猛禽類のエサにもなる小型爬虫類(体長が10cmほどの小ささ)「ヒメトカゲ」を意味し、転じて、「強者の餌となる弱者」のことということらしい。
岡田(濱田岳)、安藤(ムロツヨシ)、森田(森田剛)は皆、社会一般的な目からすれば、自ら語るように「底辺」であり「ヒメアノール」かもしれない。
一見、社会生活の中でそう見えても一皮むけば全く違う人間像があるところに現実世界への不安感が募ってくる。
始まってからゆうに30分以上たってから現れるタイトルは、前半でその社会生活の悲喜をコミカルに見せていたのはあくまでも表層的なものだと言い放っているのだ。
本当のヒメアノールはどういうことかを描く本編はこれからだと。
一番際立って見える対比は、安藤と森田だろう。
前半、抑揚のない話し方とうつろな目つきでいかにも「危ない奴」に見える安藤は、瀕死のけがを負った状態で岡田のことを「親友」と呼びかけることからも森田とは違う、こちら側の人間だということがよく分かる。
一見、社会的弱者に見えながらも、規則や常識を超えてもはや無敵の存在となっている怪物森田は、岡田とも安藤とも違うあちら側の人間だ。
だがそもそも、森田自身、高校時代にイジメ抜かれた過去をもつ。
強者が弱者を食い尽くしているように見えて、実は強者が扱いきれないほどの怪物を創りだしているパラドックスは、見ている側に強烈に訴えかけてくる。
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