
映画化の話を聞いたとき、昭和の時代によく作られていた陰惨で暗い映画のようになるだろうと思っていた。
ところが、話を聞いているとミュージカル仕立てになるとのこと。しかも、監督は下妻物語でぶっ飛んだ演出を披露した中島哲也監督だということでそれなりに期待して見に行った。
(ちなみに、映画の英題は"MEMORIES OF MATSUKO")
内容はほぼ原作どおり。
松子がトルコ嬢になるエピソードもそのまま。もしかすると映画の脚本ではトルコ嬢ではなく、場末のホステス辺りに書き直されているんじゃないかと不安もよぎったが、そんなことはなかった。
ということで、見事な悲劇ミュージカル映画に仕上がっています。
下妻物語のコメディっぽいイメージで見に行くと期待はずれに終わります。そういう私もその口で、変な期待を持たなければよかったと反省することしきり。
松子の一生を振り返るかのようなラストは、余計だったかなと思う。(これも、原作を読んでしまったせいかも。)
自分としては、下手に期待していたことと原作をあらかじめ読んでいたということでこの映画本来の面白さを堪能できなかったかもしれないと後味の悪さが残るものになってしまった。
とはいえ、音楽に彩られた高揚と没落の繰り返しは、熱い風呂と冷たい水風呂を交互に入ったときのように疲労感(失望感)と快感(感動)が同時に押し寄せてくる。
正反対の感想が同居していてもう一度見てみたいと思う映画だ。(原作はもう一度読みたくなるようなものではなかった。)
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