
トラブルを次から次へとおこす彼はある日新興宗教団体の船に潜り込み、そこでマスターと出会う。
マスターは問題を抱えたフレディを全面的に受け入れ、コーズと呼ばれる心理療法はフレディを虜する。
マスターの方も何物からも自由な彼に惹かれていくが、両者はお互いに完全に理解しあうことはできない。
残念ながら彼らに感情移入して理解することは無理だが、彼ら互いの危うい関係は見ている側も不安にさせられる。
ホアキン・フェニックスの演技は狂気の光を目に灯していて、映画の全編を通じて異様なエネルギーを画面の外に向けて放ち続ける。
平気なフリをしながらも精神のバランスを崩しているがために常にもがき苦しむフレディは、マスターのことを信じようとこそすれども、その行動には綻びが見えてしまうが故に近づききれない。
ヒリヒリするような生きる苦しみが、見ている側にも伝わってきて切なくなる。
マスターが語る一見科学的/心理学的な宗教はその危うさをさらして限界を露呈するが、これを見るのは人が他人を支配するという普遍的な欲求を果たそうとして出来ない愚かさを突き付けられているようで息苦しくなる。
浜辺の砂で作った裸の女を抱くという、他人してみれば空しく映る行為もフレディにとっては安寧を与えてくれるのに違いない。
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2013/04/02 (Tue) 16:43 | # | | 編集