示唆に富んだ歌詞が豊富で、いろいろな解釈を楽しみつつ聞けるのがいいところなので、まあ、いつも開き直って自分なりの解釈で聞いているんだけど。

アルバム「Heores」といえば、そのタイトルと同名の曲「Heores」が有名であり、このアルバムはアルバムとしてというよりは「Heores」という1曲が非常に評価されている。
そのことからも、すごくベタに解釈すれば、「Heroes」の写真の上にホワイトスクエアで"The Next Day”と書けば、Heoresたちの次の日を歌っていると考えられる。
たった1日だけなら、ヒーローになれる
"Heores"と言えば、追い詰められた愛し合う二人のことを歌った曲。
当時世界的にもヒットし、ボウイの代表曲の一つである。
歌は二人の愛のささやきのようであり、単なる夢見物語のようでもあり、事実と幻想が織り交じった詞になっているようにも取れる内容だ。
追い詰められた二人は死んでしまうのではないか、死んでしまったのではないか、という暗示も残している。
また、だれでもヒーローになれるということを歌っているようにも聞こえるが、実は単にかなわぬ幻想を歌っているむなしい歌だという解釈もずいぶん前からある。
そして次の日、そしてその次、そしてまた別の日・・・
追い詰められていた二人は別れるが、次の日、そしてその次の日も、彼は追い詰められ縛り首になりそうになりながらも朽ち果てつつある空洞の木の中で生きている。
善き悪しきの区別もない連中からぎりぎりまで追い詰めながらも、自分はまだ死んじゃいないと叫んでいる。
あらゆる苦難に振り回され、傷つけられながらも自分なりに反撃して、それでも、自分は負けちゃいない。
まだまだ、死んじゃいないと鼓舞している。
見かけは酷くやられて、再起不能に見えるかもしれないけれど、どんな形であれ見かけほどまいっちゃいない、と。
世界はそうして回っている
少なくとも、その時の自分の世界観では手も足も出ず、現実逃避しか自分を慰めることが出来ないほど切羽詰まっていても、乗り越えれない困難などない。
どんなカタストロフィを経験しようとも、それでも人生は続いていく。
現実の荒波を経験した一日だけヒーローになった彼は、夢物語を語り、現実逃避に陶酔することなく、現実に足をつけてまだまだこれからとこの歌で力強く答えているのだ。
"Space Oddity" と"Ashes to Ashes"のような分かりやすいつながりのドラマとは違うが、違う視点から見たHeoresの姿と言えるだろう。
また一方で、引退説が囁かれていたボウイ本人の復活を高らかに宣言した曲でもあると言える。

David Bowie

David Bowie
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