
宣伝では典型的な純愛モノをイメージさせるものだが、単なる恋愛ものではなく、社会的なメッセージを持ったミステリー仕立てになっている。
ラストはハリウッド作品ではありえない終わり方だ。ごく普通の男の、ある意味情けない終わり方。
復讐を果たすわけでもなく、事実を明らかにするだけにとどまっている。
ハリウッド作品に侵されているからだ言われればそれまでだが、物語としては今ひとつ感動できないラストに少し欲求不満。
とは言いつつも、この映画は、アフリカの貧困の現状をこれでもかとリアリティを持って描き、そこに巣食うアフリカ政治家のみならず欧州政治家の汚職、欧州企業の利権とそれによって軽んじられる生命をフィクションであることを忘れさせられるほどの迫力で映画全編において突きつけている。
物語の描き方はどうであれ、このような環境の中でもへこたれず、常に前向きに活動するテッサに大きな感動と尊敬の念を覚える。
作品賞が、「クラッシュ」でなく、この作品だといわれても驚かない。
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