三度目の殺人 ★★★*☆

三度目の殺人緻密に計算されつくされた脚本に唸らされる。

一見関係のないシーンで語られたセリフがふっと別のシーンで再び繰り返され、人間の存在を問うていく。

物語は二転三転し、重盛(福山雅治)の夢のシーンなど観客を惑わせるが、ストーリーはすごく単純だ。

しかし、全体に横たわるテーマは重く、「生まれてくる価値のない人間がいるか」というこれまで数えきれないほど問われてきたテーマでさえ再構築を試みている。

気になったのは、重盛(福山雅治)の娘と咲江(広瀬すず)の髪形を同じにするのはなぜだろう。

顔の違いには日本人の観客には見分けは付いても、海外だと同じ女の子に見えたのではないだろうか。

ここにも何か目論見が隠されている気がするが、自分には分からなかった。

もしかすると重森に咲江に対して実の娘のような親近感と錯覚を持たせたかったのかもしれないが、機能しているようには見えなかった。

中盤の接見室のシーンは動きがなく、緊張感が途切れがちでそれまでの流れが途絶えたのは残念。

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三隅(役所広司)は「こうすると相手のことがよく分かるんです。」と言いながら接見室のガラス越しに重盛(福山雅治)と掌を合わせる。

すると、三隅は重森に娘がいることを言い当てる。

三隅はいわゆる霊能力があったようだ。

咲江(広瀬すず)は父親と近親相姦の関係にあったことを言及し、自分の父親に対する殺意が三隅に伝わったと言う。

重森は三隅と咲江に肉体関係があったことを前提に咲江の殺意という思いが伝わったものと話を進めるが、咲江は肉体関係には言及していない。

これも肉体関係があったわけではなく、掌を重ねるだけで考えが伝わったのだろう。

終盤、三隅は殺人現場に行っていないと言い出すが、映画の冒頭で殺人を犯す三隅のシーンから始まるように三隅が殺人犯であることは間違いない。

それが咲江の告白で彼女を苦しめないための発言であったのは、やはり間違いなく咲江を三隅の実の娘とダブらせての言動だろう。

これまで親子関係を描き続けてきた是枝監督の父親と娘の関係が裏のテーマとして横たわっているように思う。


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