ディーパンの闘い ★★★☆☆

ディーパンの戦いカンヌ映画祭受賞作品には珍しく、わかりやすい映画。

スリランカの内戦で家族を失った男は、戦争難民の女と子供と偽装家族となり、ディーパンという偽名を使ってフランスへ出国する。

フランス語を話せないディーパンは難民として、ある麻薬密売人の巣窟となっているアパートの住込み管理人として就職する。

異国での3人は、忘れたくても忘れられない、それぞれ個人に染みついた経験と、難民として行場のない偽装した家族としてのしがらみの中に言いようもない閉塞感を感じる。

難民としてほかの国に逃れたとしても、命が助けられるだけで幸せにその国の社会で生きていけるかと言えば大きな疑問符が付くのは自明のことだ。

それでも難民として逃げざるを得ない人も、生への渇望とあきらめない幸せへの欲求が新たな光へと導くことに安堵する。


2015年カンヌ映画祭パルムドール受賞作品


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キャロル ★★★★☆

キャロル緻密な映画だ。

男女の愛は、生殖、生活、金銭とつながりやすいので純愛ではない。

本当の愛は同性の愛でのみ成立するという説がある。

一方、最上の愛と言われる「無償の愛」とは親から子供に与えられるものがその典型だと言われる。

キャロルはひたすら純愛を求める人で、離婚により愛娘と引き裂かれようとするときに、ずっとこだわり続けた愛娘の親権を面会の権利に置き換えると言い出したのも娘にそっくりなテレーズと出会ったからだろう。

テレーズの小さな頃の写真を見るシーン、テレーズに「天から降りてきた」テレーズと話しかけることからも明白だ。

キャロルは、結局は自分の無償の愛の受け取り手を探していて、その愛は生殖や社会的なしがらみのある男女の愛ではなく、純愛である必要があったのだろう。

カンヌで女優賞受賞のルーニー・マーラもいいが、何よりケイト・ブランシェットの演技に圧倒された。

また、映画で登場するウォータールーといえば、悲恋の映画「哀愁」の舞台となったところ(「哀愁」はイギリス。本作は米国。)。

モーテルで流れる曲も「哀愁」で使われていたことからも、このときは二人の愛は成就しないかのようにも思えたが、単なるオマージュだったということか。



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X-ミッション ★★☆☆☆

Xmissyon予告編を見ているとストーリーのない映画かなと思ったが、キアヌ・リーブス主演の「ハート・ブルー」のリメイクとのことを聞いて問題ないと判断して見に行った。

でも、実際ストーリーはほとんどない映画だった。

ユタ役の主演の俳優も下手過ぎてFBIには見えない。

エクストリーム・スポーツのシーンも、予告編がほとんど全てで特別驚くようなシーンはなかった。

こういうスポーツの動画を見たことがある人なら映画のシーンが特別すごいとも思わないと思う。

全て実写でCGはないとの触れ込みだが本当だろうか。

いくつか怪しげなシーンもあり、興ざめだった。

特に、鉱山爆破のシーンはどう考えてもCG合成だろう。

実写のみとふれこみの映画でこういうシーンが一つでも挿入されると台無しだ。


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スティーブ・ジョブズ ★★★☆☆

スティーブジョブズ現代社会の流れを変えた人として確実に歴史に名を残す人物だが、お友達にはなりたくない系の人としてもあまりにも有名だ。

映画では、マッキントッシュ、NEXT、iMacの発表会の裏舞台をメインに彼を描いている。

世の中を変えた製品としては、マック、iPod、iPhoneだと思うのだが、そういうツッコミは無しらしい。

で、製品の発表会自体は描くことはせず、あくまで裏舞台での話で映画はつながっていく。

表舞台の話は観客も知っているものと言う前提でつくっているようだが、そのせいか今一つ盛り上がらない。

俳優陣があちこちで賞を獲得している一方、映画や監督が評価されないのはこの辺りの演出方法のせいだろう。

冒頭でアーサーCクラークが、現代のIT社会を予見していたのは印象的だった。



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ピンクとグレー ★★★☆☆

ピンクとグレー謎が謎のまま終わる映画。

そもそも「ピンク」と「グレー」とは何だったのか。

原作にはあるのかもしれないが、映画だけ見ていてもわからない。

ゴッチの自殺の原因の描き方も曖昧で、それがストーリー全体に締りをなくしているように思える。

ラストの中島裕翔の演技の大根っぷりにも引いてしまった。

ピンクとグレーというその色の持つぼけた印象が映画をぼんやりとさせているが、それが目的なら、時々挿入される生々しい芸能界の鮮明な映像が必要だったとも思えないなあ。



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オデッセイ ★★*☆☆

オデッセイリドリー・スコット監督作品だが、今回は寄せ集めの出来合い映画のようだ。

というより、火星映画は早くもネタ切れだろうか。

前半はまだしも、物語の後半になるとドンドンご都合主義の安易な展開に置いてけぼりになる。

地球の1/3の重力、平均気温-40度、空気はほとんどないという火星らしさも今一つ伝わらず、地球のどこかでロケしている感じが強く感じられたのも残念。

ラストは「ゼロ・グラビティ」と同じような宇宙遊泳だが、「ゼロ・グラビティ」を見たときでさえ「ミッション・トゥ・マーズ」の宇宙遊泳の緊迫感を超えられていないように感じたのに、本作でさらに同じようなことをして改悪されている。

時折流れる70年代の音楽も中途半端な感じがして自分としてはのれなかった。



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サウルの息子 ★★★☆☆

サウルの息子この映画を見るに当たり知っておいた方がいい情報がある。

1. ナチスはユダヤ人を迫害していたが、それは迫害と言う生易しいものではなく、ユダヤ人を絶滅させる計画があった。

ホロコーストはユダヤ人絶滅が完了したら全て埋め尽くし、その事実も含めて消滅させることを計画していた。

2. ユダヤ人は、死後の復活を信じており、復活の際に必要になる遺体は埋葬されていなくてはならない。

これら二つのことは欧州の人ならある程度は常識として知っているだろうが、これを知っているかどうかでこの映画を見たときの解釈が違ってくると思われる。

埋葬しようとしている少年の遺体はサウルの息子のものかはっきりと映画ではわからない。

サウルの同僚にも日記をつけて記録を残そうとしている者がいる。

地元の少年と遭遇した時のサウルの安堵の微笑み。

このようなシーンに上記の知識は一貫性のある見方をさせてくれるだろう。



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