2015.05.31(Sun)
園子温監督の最新作。
原作は和久井健のコミック、TBSが制作ということで、メジャー路線で作られた映画というせいか、そこかしこに園子温らしさは散見できるものの、全体としてマイルドな演出に感じられた。
出ている俳優は(特に男性は)強烈な個性をむんむん発していて存在感が半端ではない。
山田孝之は相変わらず強烈、伊勢谷友介もかっちょいい。
山田優は期待していなかったからいいとして、沢尻エリカも汚れ役的なイメージが定着してきているせいか、新鮮さは感じられずに今一つ存在感が薄かったのは残念だった。
ラストの終わり方からして、シリーズ化の可能性があるんだろうか。
新宿を歩くとよく見かける怪しげな輩たち。
この人たちはこんな世界でこんなことをやってたのねと改めて感心。
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2015.05.22(Fri)
品川監督前作では大阪弁でのセリフを早口でやり取りする様が、昔のタランティーノ映画を彷彿とさせていい感じだったので見に行ってみた。
前作同様、芸人が多数出演しているが、内輪で撮っている感が強くてその面はマイナス。
笑いを狙った小芝居も空振りのものもあって、映画の流れを不要に止めていたのでこれもよろしくない。
でも、海外では毎年のように飽きるほど作りつくされてきたゾンビものを日本でやることは、それ自体面白く、作品としてはうまくまとまっていると思う。
せっかくなのでもっと日本らしいリアリティが感じられる撮り方をしてもらいたかったところだ。
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2015.05.17(Sun)
えっ!これで終わり?と言う感じで終わってしまったというのが見た後の感想。
江戸時代の浮世絵師の巨人、葛飾北斎の三女お栄を描いたアニメ映画。お栄はのちに葛飾応為として絵画を残しており、映画の絵インドクレジットで登場する遊郭の絵は応為の作品だ。
北斎とお栄は目に見えないものを見ようとし、それを絵にしようとした。
北斎の末娘お猶は目が見えないにもかかわらず、買ってもらった金魚をずっと見ていたという。
視覚をもって把握できないものを何とかとらえようとしたのは北斎の血筋だろうか。
お栄の勝ち気な性格と絵に対する情熱は、寡黙な北斎の絵に対する哲学をも浮かび上がらせる。
彼らの絵に対する姿勢は紛れもなく芸術家のそれであり、目の見えない末娘お猶に対する接し方、この世の観かた、あの世の在り様からも彼らの絵の深みが伝わってくる。
ただ、映画の中の物語としては、今一つ盛り上がることなく、特に最後は尻切れトンボのようになっていたのは残念だった。
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2015.05.09(Sat)
地球上の誰かが ふと思った
『人間の数が 半分になったら いくつの森が 焼かれずにすむだろうか……』
地球上の誰かが ふと思った
『人間の数が 100分の1になったら たれ流される毒も 100分の1になるのだろうか……』
誰かが ふと思った
『生物(みんな)の未来を 守らねば…………………………』
冒頭のナレーションから意味深な問いかけが行われ、映画の中でもたびたび哲学的ともいえる問いかけがなされる。
惜しむらくはその問いに関する明確な答えは示されないことだ。
逆にこの問いを考え始めるとこの映画の前提の脆弱性に触れてしまい、話が成り立たなくなってしまう。
実験は結果をまとめることなく崩壊するし、別の形でも何らかの答えが示されればいいのだが、アクションにごまかされてしまうのはなんとも残念だ。
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2015.05.05(Tue)
ベストセラーの「学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話」を映画化した作品。
ストーリーは原作本のタイトルそのままでサプライズはないですが、素直に感動できる映画になっています。
孤独な少女の受験物語のみならず、家族の話にも焦点が当たっていて学生だけではなく親世代でも映画に感情移入して楽しめると思います。
受験は家族も大変とは昔からよく言われていますが、親夫婦の話、兄弟関係の話、親子関係の話と家族論が裏のテーマです。
有村架純は、作り笑顔も嫌味にならず、予想以上に好演していてよかったなあ。
有村架純の採用はこの映画の良さを押し上げていると思います。
自分としては今後も少し注目。
ただ、今回のサンボマスターのテーマ曲は自分としてはイマイチ(笑)。
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2015.05.01(Fri)
映画本編が始まる前に監督のグザヴィエ・ドランのドキュメンタリ映画が10分ほど流れる。
現在注目のドラン監督の映画技法の解説をしたもので、シンメトリーの画面構成、背後からのショットの多用、伏し目がちな人の顔のアップ、スローモーションと音楽の使い方等々彼の特色を細かに解説してくれる。
今までにドラン監督の作品を見たことのある人なら楽しめるプレゼントになるだろう。
一方、本作品の大きな特徴は、そのドキュメンタリでも言及の在った1対1の正方形画面の多用だ。
ただ、そのせいか映画を”感じて”観ることができず、技巧分析的に映画を見ることになりがちだったのは少し残念だった。
分かりやすい技巧に走らず、もっと内容で頑張ってほしいなと。
俳優さんたちも個性的だし、すごいパワーを感じる映画になっている。
それだけに、テクニカルに走っているところがめんどくさいなと感じてしまった。
カンヌ国際映画祭審査員特別賞、カナダ・アカデミー賞受賞作品。
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