ザ・トライブ ★★★★☆

ザ・トライブ予備知識なしで見に行ったら驚いた。

地上にある全くの別世界。

実在する未知の種族。

セリフなし。音楽なし。

カメラはほとんど固定で長回し。

たった36カットで成り立っている映画。

ほとんど音のない世界ながら、思わず映画の世界に引き込まれた。

セリフのない状態で理解できるのか不安でもあったが、そんなものは杞憂だった。

それどころか、音の世界でしか成り立たない展開に衝撃を受ける。

こいつはすごい!



第67回カンヌ国際映画祭で批評家週間グランプリ受賞


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セッション ★★★*☆

セッション Whiplash息をすることも忘れて見入ってしまう。

途中、息が苦しくて息を止めていたことに何度も気づかされた。

本作でアカデミー賞を受賞したJKシモンズの鬼教官ぶりに注目があつまっているが、主演のマイルズあってこそだ。

むしろ、マイルズの熱演に圧倒されると言った方がいいかもしれない。

追い詰められたマイルズのイカレっぷりも相当なものだった。

イカレポンチ同士のキチガイじみたバトルはほとんどホラー!(笑)

ラストはずっと腹筋に力が入りっぱなしだった。

ただ、脚本の粗さのせいか所々ハッキリしないことが残ったままなので、音楽セッションの壮絶さとは裏腹に今一つすっきりしない。


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ソロモンの偽証 後篇・裁判 ★★★☆☆

ソロモンの偽証 後編裁判前篇で期待を見る人の膨らませておきながら、後編でふたを開けてみると期待していたよりも底が浅かった感じだ。

中途半端に絡めると収拾がつかなかったのかもしれないが、先生やマスコミは前篇とは異なり、ほとんど蚊帳の外。

緊張感が途切れず続くところはいいのだけれど、いかんせん語られ方が軽いまま終わってしまうエピソードがいくつかあったのが残念だった。

絵的にも、みんな揃ってお辞儀するカットが多いのは日本人だからしょうがないのかもしれないが、お辞儀ですべてを語らせるというのもちょっと知恵がなさすぎやしないかい?

主人公の藤野涼子についても「心を血だらけにされた」ことをナレーションでの説明だけで終わらされたのは一番がっかりだった。

今回の作品でたくさんの若手俳優が本格デビューしたが、今後の活躍が楽しみだ。


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バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)★★★*☆

Birdman バードマン話題の長回し撮影はいうまでもなく、時折差し込まれる美しい構図の映像にも心を奪われる。

全編流れるドラムの音楽も印象的だ。

アメリカのショービズ界を皮肉るようなセリフが満載なのもアカデミー賞受けが良かったかもしれない。

映画終盤、自由に空を飛ぶリーガン。

空を飛んで劇場入りしたリーガンの後を金を払えと追うタクシードライバーのシーンからこの映画は追い詰められ、壊れかけたリーガンの幻想が入り混じっていることが判明する。

映画冒頭から描かれる超能力はすべて単なる妄想なのだ。

リーガンは奇跡を起こすことにより、幻想を捨てて自分自身を取り戻すことに成功することで過去の自分と名声の呪縛から自由になる。

その変容は、バードマンのマスクそっくりな包帯の下から出てきた整形された自分の顔は今までとは全く変わってしまっていることも見事な比喩になっている。

バードマンと決別したリーガンは病院の窓からジャンプするが、娘サムはその病院の窓から上空を微笑みながら見上げる。

しかし、その上空にはリーガンの姿はないはずだ。

この映画はリーガンの幻想が入り混じっている程度のものではなく、彼の幻想そのものであり、サムの微笑みも幻想なのだ。

むしろ、冒頭のカーヴァーの一節を踏まえると、この映画自体彼の死ぬ間際、あるいは(死んだ直後の)回想そのものと考えるのが妥当だろう。

過去の自分から脱却できずにいながら懸命にもがき苦しむことによって、予期せぬ奇跡を起こして新たな自分を手に入れ自由を得た彼の心象は、その時肉体は滅んでいようとも、ラストのサムの表情に見事に反映されている。


And did you get what you wanted from this life, even so?
I did.
And what did you want?
To call myself beloved, to feel myself beloved on the earth.

たとえそれでも、君は思うのか、この人生における望みは果たしたと?
果たしたとも。
それで、君はいったい何を望んだのだ?
それは自らを愛されるものと呼ぶこと、そして自らをこの世界にあって愛されるものと感じること。

(Raymond Carver, Late Fragment)

アカデミー賞作品賞・監督賞・撮影賞・脚本賞の4部門受賞作品。


ちなみに、予告編で流されていた印象的な歌は、映画本編では使用されていない。






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イントゥ・ザ・ウッズ ★★★☆☆

Into the woodsちまたでは賛否両論の映画。

というよりは、ネガティブな意見が多いようにも見受けられるが、自分はそれほどヒドいとも感じなかった。

おとぎ話の願い事も少し引いてみれば、自分のエゴをいかに実現するかという話。

エゴをむき出しにして得をするひとがいれば、その裏で必ず損をする人もいる。

おとぎ話なんてしょせん子供向けの話。

リアルに描けば黒くなる。

これまで、たくさんのおとぎ話を映画化してきたディズニーだからこそ作れた映画であり、この作品自体がブラックユーモアの大人向け映画だと思う。


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リアリティのダンス ★★★☆☆

リアリティのダンスカルト作品として名高い「エル・トポ」、「ホーリー・マウンテン」を作ったアレハンドロ・ホドロフスキーの作品。

これらの作品は70年代のものだが、自分は90年代にビデオで見た。

今回の作品については、自分が老けたのかかつてのような衝撃は受けなかったが、それでも、この人のピリピリとするような感性の鋭さは嫌と言うほど伝わってくる。

ストーリーはホドロフスキー自身の自叙伝のような内容で、主人公の少年の父親は自分の息子が演じている。

80歳を超えてなお、これまでの生涯をこれだけ感性豊かに表現できる才能が有りながら、ここ20年ほどブランクがあったのは大変残念だ。



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忘れないと誓ったぼくがいた ★★★*☆

忘れないと誓ったぼくがいた映画を作っているぼくが高校二年の夏に付き合い始めた彼女。

父親の事業がうまくいかずに、家を売却して夜逃げ同然にいなくなってしまった。

大学受験が迫る高校三年の夏、昨年彼女と撮影した動画を見て自分が好きだった彼女のことを忘れていたことに気づいたぼくはそのことを一つのストーリーとして妄想しながら語る・・・

この映画の骨格はこのような話なんだろうと思う。

映画で語られる、

忘れてしまっても出会うたびに同じ人を好きになること、好きな人を慕い続けながら、その人のことを認識できないことは、人を好きになることとは何かと本質的な質問を投げかけているように思う。

後者は「妻への家路」でも描かれているが、人を想うということは脳内の妄想だけでも成り立つということだが、当然のことながらそれは愛し合うということとは違うのだ。

思いを寄せる相手はかつてとはすでに同じ形で存在せず、接することもできない。

だからこそ、かつて愛し合った二人の間のそのような状態に計り知れない空しさを感じる。



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