
人質たちが自分たちだけが殺されるだけでなく、他の大勢の同僚の命も危険にさらす可能性のある作戦への参加への恐怖と緊張感は見ている方にも気が狂いそうになるほどの高まりを与える。
脱出作戦実行のときのサスペンスはまさに手に汗を握る。
ベン・アフレックの演出は本物だと思う。
サスペンスのシーンの一方で、CIAの官僚的な組織の中での戦いと虚構の世界をビジネスとする映画産業の中を渡り歩く戦いの対比が何とも見事だ。
ただ、最後の締めくくりはCIAの宣伝映画になってしまっているのが残念と言えば残念。
映画に描かれていない事実を言ってしまうと、他の人質を救出するための奇襲作戦は死者を出して失敗し、実際に人質が解放されたのはカーター政権が交代した後のことだった。
このことを考えると、この作戦は秘密にされるべくして秘密にされたのだと逆に納得してしまう。